・子どもが電車内でぐずり始めると、「うるさくしたら迷惑でしょ！」
・セルフレジでお手伝いしたがるけど、「遅くて次の方に迷惑かかるからダメ！」
・子どもがレストランで食べこぼしたら、「汚すとお店に迷惑でしょ！」

子育てに一生懸命なパパ・ママほど、子どもにこんな言葉をかけてしまいがちです。
秩序や礼儀を重んじる文化をもつ日本では、「人様に迷惑をかけない」という暗黙のルールが根強くあるからでしょう。

特に近年はＳＮＳが発達し、誰もが他人の行動を監視したり、発信したりできるようになったことで、この文化がゆがんで使われてしまうこともあるようです。

でも、同じ仏教系の文化を持つインドでは、子どもの時から「人は生きていたら迷惑をかけてしまうのだから、あなたも周りの人を許してあげなさい」と教わるのだそうです。
なんだか心がおだやかになりませんか？

今日は、子育てには「人に迷惑をかけない」ではなく、「人を許す」という考え方が、とても重要なんだというお話です。

人に迷惑をかけているかどうかの基準は人それぞれ

一見、人に迷惑をかけないことは、とても良いことのようです。
でも待ってください。この迷惑って誰にとっての迷惑なんでしょうか？
もっと言えば、迷惑かどうかは誰が決めるのでしょうか？

例えば、お店でうるさくする子どもがいたとします。

一人のお客さんは「迷惑だなぁ」と感じるかも知れませんが、別のお客さんは「子どもは元気でいいなぁ」とにこやかに見守るかも知れません。

このように迷惑かどうかの基準なんて、ものすごく曖昧なことなのです。

「周りに迷惑かけちゃダメ！」の大きな弊害

しかし子どもはその曖昧さを理解できません。

迷惑をかけてはダメと言われ続けると、迷惑＝とにかくダメ！と心に深く刻み込んでいきます。

その結果、何か自分でやろうとしたとき「迷惑をかけるかも･･･」とブレーキをかけたり、何かを伝えようとしても「相手は迷惑に思うかも･･･」と我慢するようになります。

そして、このブレーキや我慢は、子どもの心を縛る呪いに変化します。
いじめられて嫌な思いをしても「相談したらママに迷惑かも」と我慢するし、
就職して理不尽な扱いをされても「みんな頑張ってるから迷惑はかけられない」と無理をするし、
親になったときには「うるさいと迷惑だから静かにして！！」と周りの目を気にしてイライラする。

結果、その子ども（あなたの孫）にも呪いの連鎖が起きてしまうというわけです。

実はこの呪いの連鎖、私自身が経験したことなんです･･･。（私のプロフィールを読まれていない方はぜひご一読ください）

迷惑ではなく、「しても良いこと」「いけないこと」を伝える

ここでまず知っておいてほしいのは、子どもをコントロールできる親＝良い親ではないということです。
子どもをコントロールしても、そのときは「いい子」になるかも知れませんが、「幸せな子」にはできないからです。

では、子どもにどう伝えるのが正解なのでしょうか？

迷惑なことがダメではなく、しても良いこと、してはいけないことを具体的に伝えればよいのです。

最初に挙げた3つの例を考えてみましょう。

・子どもが電車内でぐずり始めると、「うるさくしたら迷惑でしょ！」
→「電車は静かにしておく場所だから、声は小さくしようね。」

セルフレジで子どもがお手伝いしたがるけど、「遅くて次の方に迷惑かかるからダメ！」
→「今日は無理だけど、次の人が並んでいないときにやってみようか。」

子どもがレストランで食べこぼしたら、「汚すとお店に迷惑でしょ！」
→「汚しちゃったら、すぐにきれいにしようね。」

こんな風に伝えれば、子どもはその言葉を素直に受け取り、自分の意思で考え、行動を変えることができようになっていくのです。

これまでの自分を許しましょう

ここまで読まれてきて、これまで子どもにしてきた言葉かけを思い出し、「もう自分は手遅れだ」とか「子どもに呪いがかかってしまったかも」と感じた方もいるかも知れません。

でも大丈夫です。人はいつからでも変わることができるし、遅すぎることなんかありません。

インドの教えを思い出してください。
「人は生きていたら迷惑をかけてしまうのだから、あなたも周りの人を許してあげなさい」

あなたは一生懸命子育てをしてきたはずです。迷惑をかけたことがあっても、それは当然のこと。
そんなあなたを、まずはあなた自身が許してあげましょう。

これまでの頑張りを認め、たくさんたくさんほめてあげてほしいのです。
そうすることで、自然と心がほぐれていき、自分を許すことができると思います。

すると、子どもへの声かけも知らず知らずのうちに変化し、きっと子どもにも良い影響を与えられるでしょう。

おわりに

私のカウンセリングでは、この自分を許すセラピーを「マインドハグ」と呼び、大切なワークの一つとして実践しています。

このワークによって、あなた自身の心が整い、おだやかな心で子どもに接することができるようになります。

一人で実践するのは難しいと思いますが、ぜひお試しカウンセリングで経験してみてはいかがでしょうか？